

インターネットデータセンター(以下iDC)は、サーバなどのシステムをお客様に代わってお預かりする施設のこと。長時間の連続運転を行うサーバが集中するため、使用電力量も膨大で、機器の放熱で部屋の温度も上がる。温度や電流など運転環境の監視や管理が重要だ。
2007年春、このiDCの電流や温度をリアルタイムに監視するシステムを作ろうと、【iDCNavi】開発のプロジェクトチームが立ち上がった。
当初開発メンバーは、チームリーダーである入社4年目の前田を含めた若手の3名。設計とDBサーバ、ユーザーインターフェース(画面)、Webサーバの3つに分けて開発を進めた。
開発にあたっては、iDCにサーバーを預けるお客様の存在を忘れてはならない。お客様には、自身が借りているサーバの電流使用量をWeb上で確認できたり、異常が発生した場合にはメールで知らせが届くなど、タイムリーな情報開示が必要となる。開発には、iDCの効率的な運営と、顧客サービスの両方の視点に立つことが求められた。
今までのシステム開発の経験から、データを計測し、取込み、表示させる・・・と一通りの機能は盛り込んだものの、まだまだ工夫が足りない。カレーに例えれば”あまりにもあっさりしたカレーでコクも旨みも無い”と言った感じだった。工夫しようにも、前田を始めメンバー全員がiDCの業務を知らなすぎた。iDCはセキュリティがことのほか厳しく、簡単に足を踏み入れることすら出来なかった・・・。
ようやく注文をいただき「うちがファーストユーザーなら、情報収集しながら機能アップしていくといいですよ。」と言ってくださったお客様のありがたさは忘れない。チーム全員で必死に一から勉強した。お客様の所で行なわれる定例の会議には必ず出席し、その場で出た提案や意見は、次の会議までに必ずイメージ画像にして持って行った。見える形にしておけば、会議でもイメージがつかみやすく、意見も出やすい。結果、いろんなアイデアも湧くからだ。
▲効率的な冷却方法

勉強していく中で、データセンターの運営で一番大事なのは、「いかに効率よくサーバを冷やすか」だと教わった。その為には、様々なノウハウがある事を知る。
たとえば、あるデータセンターはサーバーが設置してあるラック間の通路を、温度が高い通路と低い通路に分けている。サーバーは正面から冷たい空気を取り入れ、温度が高い通路に排気する。空調は温度が高い通路から空気を吸い込み、冷却した空気を冷たい通路に送る。冷たい通路と暖かい通路を隔てるために、カーテンで区切るなど、さらに電力効率を上げる工夫をしている。
それならば、【iDCNavi】で室内全体の温度を一目で確認できるようにしたら、熱溜まりの箇所や、逆に冷やしすぎの箇所などが一目瞭然となり非常に効果的だ。前田は温度分布図に注力した。
センター内に細かく計測ポイントを設け、測定のポイントをただ単に色で表すだけでなく、細かく表示できるよう、補間で色を割り当てるように工夫した。補間とは、点と点の間を補うもので、与えられた点以外の領域は補間値をもとに表示色を決定する。作り始めたら面白く、前田が乗って作った温度分布図は短期間で完成した。その後も改良を続け、今ではサーモグラフィの様な細やかな表示が可能になっている。
iDCNaviのビジュアルは進化を続け、電流の量を大きさで表すボリュームマップや、ラックを3Dで表示し、温度や湿度を立体的に見られるようにしたり、温度変化の記録をアニメーションで確認できる機能も追加した。
チームみんなでアイデアを形にし、提案でき、結果としてシステムが機能アップしていく所が、一番面白い。
最初、電流監視だけを導入したお客様から、その後温度監視、湿度監視と機能追加の注文をいただいた。新設のiDCに導入したお客様からは、既設のiDCにも導入して欲しいと依頼をいただいた。【iDCNavi】導入の効果と、実績は着実に評価されている。
開発チームは、プロジェクトマネージャー、チーフエンジニアの前田、システムエンジニアの4名に、新入社員が1名加わり、総勢7名体制になった。このシステムは空調の効率的な運用を支援し、結果CO2削減に繋がる。グリーンITが注目される今、開発に携わるメンバーの使命感は強く、志も高い。

近い将来、【iDCNavi】をディファクトスタンダード(業界標準)にすることが、前田の、いやチーム全員の大いなる野望だ。