ルネサス エレクトロニクス株式会社様

長年、高品質を裏づけてきたコンパイラ評価サービス

ルネサスが提供する「機能安全」ソリューションとして
顧客付加価値向上に貢献

User Profile:

ルネサス エレクトロニクス株式会社は、世界トップクラスのシェアを誇るマイコンサプライヤです。自動車、産業、インフラ、IoTの4つの分野に対し、スケーラブルで包括的な組込み半導体ソリューションを展開しています。同社は、「To Make Our Lives Easier」というパーパスのもと、技術を通じて、より安全で環境に優しく、人々の暮らしを楽(ラク)にする社会を築くことを目指しています。

ルネサスが日本ノーベルのコンパイラ評価サービスを利用する理由

ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下、ルネサス)が、日本ノーベルの「コンパイラ評価サービス」を初めて採用したのは1995年頃でした。ルネサス統合前の前身時代に遡ります。開始から間もないサービスでありながら、数十万本ものテストケースが用意されており、ルネサス製コンパイラのさらなる品質向上に役立つと考えたからです。

コンパイラ評価サービスとは、組込み開発に用いられるC/C++言語のコンパイラ自体の品質妥当性を評価する第三者検証です。日本ノーベルがサービスの提供を開始したのは1995年、コンパイラ評価の請負サービスとしては国内唯一の存在です。テストケースは随時追加・更新を繰り返しており、現在では世界最大規模の90万ケース/3.8億ステップにもなっています。

ルネサスでは現在も、コンパイラの製品リリース前の最終確認に同サービスを活用しています。同社が開発しているコンパイラについて、OSや評価条件を変えながら、年間で20回以上の評価を実施しています。

高い品質が維持されている中で、あえて第三者による評価を利用する理由について、ソフトウェア&デジタライゼーショングループ/Services統括部パートナーサポート課、技師の鈴木敦氏はこう語ります。「社内の開発者は、コンパイラの構造も、コードも分かったうえで、テストプログラムを作っています。一方、コンパイラ評価サービスはC言語の規格に基づき『このように動くはず』という観点で、網羅的なテストを実施してくれます。それぞれのアプローチが異なるため、互いに補完し合うことができるのです」

ルネサス エレクトロニクス株式会社 
ソフトウェア&デジタライゼーショングループ/Services統括部 パートナーサポート課 
技師 鈴木 敦 氏

“重箱の隅”がさらなる信頼性向上に

では、コンパイラの開発者たちはどのように感じているのでしょうか。「社内での評価は、『過剰なのではないか』と思うくらい入念に行っています。テストスイート製品も利用しています。それでも、日本ノーベルのコンパイラ評価サービスは、言語仕様の隙間を突くようなテストまで行ってくれるので、品質の向上に役立っています。評価レポートも整理されていて分かりやすく、必要な調査をスムーズに始めることができます」とソフトウェア&デジタライゼーショングループ/Renesas365統括部コンパイラ課、課長の中川満氏。

ルネサス エレクトロニクス株式会社 
ソフトウェア&デジタライゼーショングループ/Renesas365統括部 コンパイラ課 
課長 中川 満 氏

ソフトウェア&デジタライゼーショングループ/Renesas365統括部コンパイラ課、技師の中村博文氏も「日本ノーベルのテストケースには、一般的なプログラムの書き方から外れたコードも年々追加されています。そのおかげで、ごく稀に発生する挙動が見つかったこともありました。コンパイラの使い方はユーザー環境により様々であるため、万が一発生すると深刻なトラブルになりかねません。隅々まで評価してもらえるのはありがたいです」と話します。

日本ノーベルのコンパイラ評価サービスは、ルネサスのコンパイラの信頼性確保において一翼を担っているのです。

ルネサス エレクトロニクス株式会社 
ソフトウェア&デジタライゼーショングループ/Renesas365統括部 コンパイラ課 
技師 中村 博文 氏

機能安全認証の取得を支援したい

ルネサスの主力製品であるマイコンは、産業機械、自動車などの業界で多く使われています。セーフティクリティカルな開発を行っているこれらの業界では、ここ20年ほどの間に「機能安全」という考え方が広がってきました。その背景にあるのは、機能安全規格であるIEC61508(産業機器)やISO26262(車載)です。特に自動車業界では、2011年にISO26262の初版が発行されると、機能安全に対する意識が一気に高まり、ルネサスの顧客の間でも同規格に対する取り組みが加速し始めました。

機能安全規格への認証や準拠にあたっては、製品で使用されるマイコンのみならず、そのマイコンの上で動作するプログラムを開発するツールについても“信頼性”を示さなくてはなりません。たとえばISO26262では、機能安全が関連する製品の開発に使用される前に、使用されるソフトウェアツールを評価して関連するリスクを判断し、必要に応じて適格性を確保することが義務付けられています。適格性評価の方法も明確に定義されており、その作業には専門知識と相当な工数が必要です。

「当社のツールは、厳格に定めたプロセスに沿って開発しており、テストもカバレッジを確認しながら相当行っています。しかし認証取得には、お客様がツールの適格性を示さなければなりません。そのようなお客様を支援するには、何らかのソリューションが必要だと考えていました」と鈴木氏は振り返ります。

両社連携が発展。ルネサスのソリューションとしての
「コンパイラ評価サービス(機能安全対応)」

この課題に対してルネサスが導き出した答えは、日本ノーベルのコンパイラ評価サービスでした。コンパイラ評価サービスによって得られる膨大な評価レポートは、機能安全規格が求める十分なエビデンスになり得ます。

「われわれがこのソリューションを検討していた頃は、認証済みコンパイラもまだ黎明期でした。そのような中で、機能安全規格に定義されているツールの適格性を示すには、日本ノーベルによる評価後のレポートが最適だと思いました。長年コンパイラ評価サービスを利用してきた経験から、評価の質や量、またテストケースを更新しつづける姿勢などに信頼を寄せていました。これをお客様への支援サービスとして提供することで、当社の機能安全ソリューションを充実させることができると考えたのです」と鈴木氏は話します。

こうして2014年、ルネサスは日本ノーベルと連携して、評価の実務を日本ノーベルが担う体制を構築。ルネサスのコンパイラユーザー向け機能安全認証支援サービスとして、「コンパイラ評価サービス 機能安全対応」の提供を開始しました。同サービスは、提供開始以降、利用実績を積み重ねており、リピート利用にも繋がっています。

新たなステージへ

両社連携によるコンパイラ評価サービスは、ルネサス製マイコンの付加価値を高めています。顧客の機能安全認証取得への取り組みを後押しすると同時に、ルネサスのセーフティクリティカルな市場における競争力の強化にもつながっています。

日本ノーベルは、2026年にルネサスのパートナーエコシステムにも参画します。長年にわたるルネサスと日本ノーベルの信頼関係は、ここからさらに新たなステージへと進んでいきます。