導入事例:ジーエルソリューションズ株式会社 様

試験の網羅性とリソース最適化を目指し
RFIDリーダライタの自動検証プラットフォームを構築

User Profile:

ジーエルソリューションズ株式会社 様

https://www.glsol.co.jp/

ジーエルソリューションズ株式会社は、RFID(非接触ICカード)技術を使用したリーダライタの開発をコアに、さまざまなソリューションの企画・開発、および製造販売を行っているメーカーです。RFID技術におけるパイオニア企業としての強みを活かし、入退室管理や勤怠管理といったオフィス向けソリューションから、生産ラインなどでの各種個体識別まで幅広い分野にデバイスを提供しています。

膨大な試験。社内だけでは限界

交通系ICカード、電子マネー、オフィスなどの入退室管理、在庫管理や物流、製造現場……。さまざまな場面で活用されているRFIDは、もはや欠かせない技術と言っても過言ではありません。

多様な環境で幅広い使われ方をするRFIDのリーダライタの試験は、膨大で複雑な作業です。周波数帯、使用されるICカードの規格やチップの種類など、組み合わせが非常に多いことに加え、エラー時の挙動や想定外の使用も考えなければなりません。さらに過去製品との互換性まで考慮すると、検証が必要なケースはどんどん増えていくことになります。

ジーエルソリューションズが開発しているRFIDリーダライタモジュール

ジーエルソリューションズでは、自社内だけで行う検証に限界を感じ始めていました。まず、膨大な試験には相当な人的リソースと工数が必要で、社内で十分に確保することは難しい状況です。また開発チームが自ら実施する試験は、どうしても「仕様通りの動作か」を確認することに偏りがちになります。開発の意図を熟知しているがゆえに“想定外”を想定するのは難しく、“思い込み”を完全に排除することも困難です。

取締役 技術部長の西下一久氏は「開発者ではない人、もしくは別の開発者がチェックするべきなのは分かっていますが、品質保証部門の作業時間も慢性的に不足している状況です。品質をもう一段階引き上げるには、客観的、網羅的に、同じ精度で繰り返して試験ができる自動化の仕組みが必要だったのです」と振り返ります。

ジーエルソリューションズ株式会社 
取締役 技術部長 西下 一久 氏

パートナーの要件は組込み知識+自動化技術

ジーエルソリューションズは、同社の要求に応えてくれるパートナーを探しました。展示会に出向いて情報を収集し、第三者評価を展開している多くの企業に問い合わせをしましたが、手を挙げてくれた企業は2社だけでした。そのうち、組込み特有の挙動に対する知見があり、かつ試験の自動化技術を確立していたのが、日本ノーベルだったのです。

日本ノーベルの「開発検証サービス - 組込み開発向け検証プラットフォーム構築」は、組込みシステムの開発加速と品質担保の両立を目指し、テスト環境そのものをエンジニアリングして最適化する検証サービスです。モバイル端末の開発・検証で培った高度な知見を有し、通信電文の解析からシステムの妥当性確認まで一貫してサポートできるのが強み。「オーダーメイドな自動化」を実現し、シフトレフトと品質安定化を支援します。

技術部技術開発1課、課長の近馬周平氏は「網羅的な検証と社内リソースの最適化を実現するには、自動化は不可欠です。しかも当社の製品はハードウェアとソフトウェアが密接に関わるため、単なるソフトウェアテストの知識だけでなく、組込み特有の挙動を理解している必要があります。日本ノーベルは、当社の試験ニーズに応えられる唯一無二のパートナーだと思いました」と話します。

ジーエルソリューションズ株式会社 
技術部 技術開発1課 課長 近馬 周平 氏

標準化へのプロセスで得たもの

ジーエルソリューションズは、非接触技術の黎明期から事業を展開してきた歴史があり、高い技術力やノウハウの蓄積があります。その一方で、仕様書に明記されていない部分の実装には技術者の考えやテクニックが反映され、機種が増えるに従って実装のバラつきも蓄積されてしまいます。しかし自動化を目指すには“正解”を決める必要があるのです。

自動化に向けた取り組みは、まず日本ノーベルに3機種のテストを依頼し、バラつきを明らかにすることから始まりました。暗黙知だった細かい仕様が、テスト結果の指摘により顕在化したため、ジーエルソリューションズがそれぞれの正解を決めて“標準”を作り、それをベースに日本ノーベルが自動化のためのテスト仕様を作成するのです。

メインの業務を続けながら、並行して標準を作るという作業は想像以上に大変なものでした。「想定外の操作やエラー、非機能要求も含めて、すべての正しい仕様を決めなければなりません。過去の機種に倣うべきか、それともこの機会に仕様を統一すべきか、またこれまで曖昧だった部分について何が正しいのかなど、社内で議論を重ねました。日本ノーベルとの間でも細かな認識を共有するために、非常に密なコミュニケーションが必要でした」(近馬氏)。

しかしこの努力のおかげで、曖昧さや属人性は排除され、暗黙知も明文化されました。近馬氏は「第三者の目が入ったことで気付かされたことも多々あり、苦しいプロセスでしたが大きな収穫を得られました。仮に自動化をしないとしても、いつかやらなければならないことだったと思います」と語ります。

このプロセスを乗り越えたことで、標準的なテスト仕様が完成しました。それに基づき、テストケース、自動化プログラム、シナリオ、ロボットが協調して動作する、オーダーメイドの自動検証プラットフォームが構築されたのです。

自動化は進化し続けるもの

現在このプラットフォームは、ジーエルソリューションズ社内で運用されており、特注品については日本ノーベルが検証を請け負うという体制で進められています。

試験の網羅性が飛躍的に向上したことに加え、開発中にも何度でも試験できるようになり、上流で問題を潰すことができるようになりました。古い機種との差についても、新旧両方のテストを簡単に行えるのですぐに確認できます。人的な確認漏れをゼロにし、品質のバラつきを抑えて高い信頼性を維持できる体制が整ってきたのです。

西下氏は「お客様からの要求はますます厳しくなっています。その一方で、人材を増やすことは容易ではなく、開発期間を延長するわけにもいきません。この品質体制の強化と開発期間の短縮という相反する要求に対応するには、必要な取り組みだったと思っています」と評価。

また検証の自動化について、近馬氏はこう話します。「自動化は100%に到達するものではなく、コマンドの追加、機種などのバリエーションの増加に伴って、成長していくものだと思います。今後は、自動化の範囲や対応機種を広げながら、プロセス全体の改善においても日本ノーベルの知見を取り入れていきたいと考えています」。

ジーエルソリューションズの自動検証プラットフォームは、これからも進化し続けるのです。